DIARY 2001年3月後半



日記目次3月前半161718192021222324252627282930314月前半


3月16日(金)

口蹄疫の被害報道のせいで黄帝液が売れなくなっているとか。foot-and-mouth diseaseという簡単な名前に難しい字と音をあてるからだ。人間の病気hand, foot and mouth diseaseには「手足口病」というわかりやすい訳がついているのに。

共著の本の原稿と、編集係をしている雑誌の原稿と、組合誌の原稿が、机の上とハードディスクの中で交錯していて混乱しそうだ。

4人の異なるMarikoさんからメールをもらった一日。


3月17日(土)

古書市で昔から欲しかった本を発見、入手。特に飯島衛『生物学と哲学との間』は、30年間どうやって保存していたのかと思うほどきれいな本だ。

コンピュータ関係の本の山の中にギデンズのSociologyが混ざっていた。たしかに、軽い装丁で分厚い、マニュアルのような本ではある。

大月書店の資本論が、同じ文庫本ということで動物占いの本の隣に並んでいるブックオフのような古本屋がなぜか好き。学問的な価値など一般の市場ではゼロに等しいことを見せつけられることが快感なのかも知れない。

縁故採用を認めた札幌市生涯学習振興財団の常務理事の矛盾した弁明「無意識のうちに意識したかも知れない」には驚いた。記事を書いた新聞記者は何か聞き返さなかったのだろうか。


3月18日(日)

指とか眼とか耳とか顔とかで個人を認識するシステムというのが研究されている。タイムカードやキャッシュカードが要らなくなるかも知れないというものだが、銀行やコンビニのビデオを分析すれば個人が特定されるのは怖い。顔は個人データと見なされて、プライバシー保護のために人は顔を隠すようになるかもしれない。

スーパーの牛肉売り場が国産牛一色だった。挽き肉とガラはよくわからないが。オーストラリア産のものも売れないのだろうか。こういうときに食糧自給の大切さがわかろうというものだ。「安全保障」ということが食糧についても言われることはあるが、たしかに第一次産業振興予算は「防衛費」だと思う。人手不足のおりには農作業が自衛隊員の仕事になっても私は驚かない。


3月19日(月)

他の会議や会合の隙間をぬって行われる組合の会議のおかげで、学内の会議室の場所と番号をほとんど覚えた。しかし、まだ教室や研究室の番号のつけかたの規則の方は見えない。271*室(*=0,1,2など)と274*室はあるのに、どうして272*や273*という番号の部屋はないんだろう。

不定期にいろいろなことがあるので、今日は何をする日なのだかわからなくなる。

特に芸があるわけではない未成年女子が失業しそうだからといって騒ぐことはあるまい。大学卒業生で就職が決まっていない人もたくさんいる時世だ。むしろ今まで仕事があったことの幸運を喜ぶべきであろう。


3月20日(火)

高層ビルの林立する新宿西口も、百人町あたりまで北上するとがらりと様子が変わる。小さな店舗がならび、外国語が飛び交う。こんなところ(大久保駅そば)にある高原書店は、ふらっと立ち寄る人などいそうになく、ここを目的にして来る人ばかりだろうから混雑することはなさそうだ。みすず書房、法政大学出版など出版社別に別れていて探しやすい。値段は「安いとは言えない」、あるいは物によっては「神田なみ」といったところか。

電車の中で日本語を勉強している若い女性(書き込まれているメモはタイの文字だと思う)のプリントに目をやると、「保証人になると借金を背負うことがあります」とか「泥棒は窓から侵入したと思われます」といった、日本での生活の注意事項も同時に学べるような配慮のある例文が目について驚いた。


3月21日(水)

卒業式と祝賀会。大学にそんなものあるのかとか、必要なのかとか思ってしまう私は確実に、明らかに古いのだろう。あたり前のようにその場に存在し、送る教員、送られる学生、滞りなく行事を進める職員というそれぞれの役割を果たす多数の人々の中で僅かな違和感。京王プラザという決して私としては居心地の良くない場所も、違和感の理由かも知れない。

自主製作版らしいCDのポスター。タイトルは「鳶」。歌っているのは職歴30年の泉さんという人らしい。「鳶は男の、鳶は男の度胸花」というフレーズが載っていたが、これはサビ部分の歌詞に違いない。


3月22日(木)

月曜日に新宿郵便局から送った論文の抜き刷り(「別刷り」とも言う?)があちこちに届いたらしく返信のメールが何通か到着。学会誌や紀要に論文を書くと有料または無料でついてくる、別刷りという名前の「自分の書いた部分だけのコピー」は、人に送ると足りなくなることがあるが、送らないと手元にたくさん余るという特殊な性質を持っている。

白耳義国にファックスを送った。001、0041、0061それに東京電話の各Web Pageを調べて結局、東京電話(0082)が最も安価であることを発見。しかし、隣国の仏蘭西国あるいは独逸国にかけるよりも電話代がかなり割高だ。


3月23日(金)

京王プラザの卒業式会場がどうも記憶に残っていると思っていたら、昔予備校関係で使ったところだと思いついた。当時同僚だった人からまったく関係のない内容のメールが来たのがきっかけで記憶がよみがえったあたりに脳内記憶の不思議な連合関係が推定される。

どう見ても都営12号線(大江戸線とも)は乗降客数が少なすぎると思っていたのだが、予定の4割という記事を見て納得。また、この掲示板でもそのことがわかる。大騒ぎして開業したのだが、採算はだいじょうぶなのだろうか。月曜朝の8時台前半、都庁前発飯田橋方面に乗ってガラガラだったときには驚いた。スピードが遅い、混雑しない、夜間は運転本数が激減する等の問題点が指摘されているが、実は東京都が高齢者向けサービスとして計画したのではないかと考えれば腑に落ちる。


3月24日(土)

久しぶりに日本科学史学会生物学史分科会の月例会に出席。研究会とか勉強会とかいうものに出るのは、何と今年になって初めてのことだ。毎週いくつかの研究会に出ていた大学院生のころが懐かしい。あの頃は勉強できた、なんて言ってはいけない。

ヨーロッパでベジタリアンが増加中だという。彼らは、哺乳類がだめならせめて魚類とか鳥類を食べようという折衷策には至らないのだろうか。


3月25日(日)

幕張メッセで開かれているコーデックス委員会の会議(遺伝子組み換え食品の会議と言った方が通りは良いかもしれない)のプログラムはこちら。去年もここだった。外国から来る人に評判が良かったのだろうか。たしかに、東京の混雑がなく、国際空港から近い。

画素というのはちょっと良い単位だ。計算機系の本に外来語がはびこる中、日本でこれを考えた人がいるとしたら、西周以来の欧米語翻訳語作成の歴史の中にしっかり記録してよいだろう。

安芸灘の地震で心配された実家は、特に何事もなかったようだ。心配してくれた方、ありがとうございます。


3月26日(月)

卒業研究を担当した学生他と飲みに行く。無事に帰ることができたかどうか心配。

大量のゲラを都内各所に届けてまわり校正原稿を持ち帰る印刷会社社員の足は、ピザを運ぶのと同じようなバイクだそうな。なるほど。


3月27日(火)

中国ではDNAを国外持ち出しに規制があるらしい。外国の企業に中国人の遺伝子を研究対象にされたくないということのようである。今や人の遺伝子(遺伝情報)は、それを用いることで利益が生まれる、まさに「資源」であることを露骨に示している。

「地球も人も3分の2は水」というテレビCMがあるが、前者は表面積について、後者は質量(または体積)について述べているのだから、安易に等号で結んではならないのではなかろうか。ちなみに何のコマーシャルだかは忘れた。

最近安く手にいれて気に入っている本は、フックス著、安田徳太郎訳『風俗の歴史』(光文社)、森崎和江『第三の性』。それに、手にいれたのはよいが使いようのない「西原理恵子のおくられてうれしくないポストカード」。

最近教えてもらったウェブページでとても面白かったのはここです。英語の勉強になるぞ。


3月28日(水)

夕刻以後、杉並方面を探検。たまに中央線沿の雑踏を歩くのは心地好い。昼間から「いい大人」がうろいろしていて不自然じゃないからだと思う。三善里沙子『中央線の呪い』(扶桑社)によれば「中央線の病」というのがあって、就職しなくてもいいやと思ってしまうという症状が出るらしい。

荻窪駅南口の某書店では雑誌用ラックの下の棚が猫の寝場所になっている。白とキジトラが2匹とも入っていることがある。レジでお金を払うとき足に引っ掛かるものがあると思ったら段ボールで作った猫用の爪磨ぎだ。

テレビニュースで非加熱製剤によるHIV感染について、「戦後最大の薬害」と述べていたのが気になった。「最大」とは何を基準にしているのだろう。被害者の数ならスモンの方が多いはずだ。薬害エイズを大したことがないというつもりは毛頭ないのだが、「エイズより前にも薬害あったんですね」という学生をたくさん見ているだけに気になる。


3月29日(木)

送別会その3。新宿と代々木のあいだのビルの21階から下を見下ろすと、新宿駅の南端と代々木駅の北端のあいだが山手線一編成分しかないことがよくわかる。

若き日の思い出が向坂逸郎フランスデモだったりすることに、活字でしか知らない言葉をここに話している(いた)人がいるという変な驚きをおぼえる。

地震予知を本気で考えているページを発見。ここです。意味がない研究だとは思わないし、ひょっとすると観測した「前兆」現象と起った地震とのあいだに関係があるのかも知れない。しかし、震源地も日にちも不確定というアバウトな予測をしておきながら、「今回の地震がこれに該当する地震と考えられます」と終わってからの言葉だけは力強いところがおかしい。


3月30日(金)

送られる人の思い出話をしているはずが、酔っぱらっているのでいつの間にか自分の話になってしまうような挨拶が複数登場してくるようになるところでお開きにになるのはちょうどよかった。(昨日の続き)

肉屋さんのアルバイトの方が主人より、こっちの言ったグラム数を正確に手で量りとる。主人の場合、いつも少し多めになるのは、少しでも多く売ろうとするからだろうか。たまにしか来ない客相手だからそうしているのであり、毎日来る主婦相手だと最大利益を得るための戦略が異なるのだろうか。

アメリカ式のくせに"ユニバーサル"スタジオとはかたはら痛し。米国一決定戦を「ワールドシリーズ」と言うがごとし。

ここの管理人さんの書いた報告書(ここのNo.7)をもらって読みました。アメリカの国家的な高度医療推進の姿勢、同時に情報公開の姿勢と、さらに日本にいてもWeb上で相当なことがわかるという事実などに驚き! ただし、個人的には、高度先進医療にアメリカほど積極的でない日本の厚生省が悪いとは思わない。

生命保険会社の作っている財団の研究助成公募に出したことがあったため、そこから論文集が送られてきた。落ちたものだし、すっかり忘れていたが、どうやら同じ年に応募した人全員に送っているらしい。また応募するならこれを「見本」にしてくれということだろうか。ちなみに、この財団は工学院大学と同じ町内に存在する。それなのに、公募要項は大学に送られてこない。私は他の大学で見つけた。


3月31日(土)

教育テレビを見ていると、ラジオ第2放送70周年記念の番組をやっていた。 カメラと目を合わせようとせず足下に視線を落としてばかりいる吉増剛増が、 小さめの音で広瀬修子の読む気象通報をバックに聞きながら、 ヨレヨレになった詩集を片手に自作の詩を朗読するというのがあって、良いものを見たと思った。

近頃の語学講座は、どんどん明るい番組になっており、どれもが「イタリア語講座」化しているようでちょっとつまらない。 そんな中で、 4月からロシア語講座のアシスタントが、いかにもジャニーズ系の男の子だというのは注目だろう。先生の方も比較的若い男性なので、やおい系の想像力をかきたてられる聴取者が登場するのも時間の問題である。



日記目次前頁次頁 :メールは こちら