DIARY 2001年4月前半



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4月1日(日)

4月1日は入学式に決まっている。日曜日だって気にしない。昨日の雪と桜の花が同居する八王子校舎の新体育館は、まだ新築の臭いがする。 後方の収納可能なスタンド席など、体育館というよりイベントホールだ。きれいな畳が並んだ未使用の柔道場は、ここが大学だということさえ 忘れて見れば「宴会場」かと思うほどだという。

朝の入学式から夜の入学式のあいだに、上京したての新人目当てのキャッチがうようよする日曜日の新宿の町へ。配置の変わった紀伊国屋書店小田急百貨店牧野富太郎展示をかすめる。


4月2日(月)

とうとう授業の準備を始めてしまった。直前までやるまい、やると他のことができなくなると思っていたのだが、手をつけてしまった。

原作の斎藤綾子(ここの[れ-007]参照)に惹かれて君塚匠監督「ルビーフルーツ」をビデオ鑑賞。雰囲気は嫌いではないが、南果歩! 泣きすぎ、倒れすぎ。ここによれば「喪の仕事」と同じ監督だ。今はなき「シネマアルゴ新宿」で観たおぼえあり。しつこさが同じかも。

バリ島が舞台のビデオが終わってすぐメールをチェックすると卒業旅行はバリ島に行ったという報告がある。こういうのを「シンクロニティ」と呼んで研究している人もいる。


4月3日(火)

問題です。近所にある次のような古本屋のうちどれが最初につぶれるでしょうか。棚がスカスカで広さのわりに商品の絶対数の少ない店。いつ行ってもだいたい同じ本がある回転の悪い店。本が結わえて重ねてあって店というより資源ゴミ置き場に見える店。以上の3店。ただし、店主にやる気がない、値段の付け方に工夫が見られないなど他の条件はだいたい同じ。(答えは間もなく!)

マスコミ報道に敏感な核燃料サイクル開発機構のホームページも、今回ばかりは抗議ではなく説明だそうだ。


4月4日(水)

理事との団交などの組合の仕事も終わったあと、黙々と新宿郵便局で郵便物作成作業。切手の自動販売機では、50円、80円、90円、120円、270円のみを販売。430円とか510円とかを最少枚数で作る方法を考える。50-75gの郵便物の場合、50円+90円で140円というのが、今日発見したちょっと渋い組み合わせだ。

自然科学に属さないものはすべて人文科学と呼んでよいと考えている人が、自然科学者の中にはけっこういるようだ。たとえば尾身幸次『科学技術立国論』(読売新聞社)。社会科学者のためいきが聞こえる。


4月5日(木)

クローズアップ現代(NHK)でクローンについての報道。あちこち取材に行ける(そして取材を受けてもらえる)準国営放送局はうらやましい。国民から受信料という献金を集めているだけのことはある。

グリーナウェイのZOO。2時間近いがとても短く感じる。腐敗、双生児、両足切断などが、「生命」の概念の輪郭を脅かす。日本語字幕がちょっと変なところも。1つになりたい双生児とクローンの話がリンクして「個」とは何だろうと考えてしまう。


4月6日(金)

中野妙正寺川沿いの、普通の家のちょっと広い玄関を店にしたような古本屋。レジの奥でこたつに入ってテレビを見ている人が店番をしていることになっているのだろう。時間が時間なので夕食らしきにおいも漂っている。棚に並ぶ、タイトルが読めないほど色の変わった本は、何十年もそのままなのかも知れない。他方で、中にはそれなりの値段がついている本もあるから不思議だ。入り口付近の新しめの雑誌やコミックだけが回転しているものと見える。

中野区、杉並区あたりの路線バスは、よくぞこんなにという細い道を通る。東京のバス会社に勤めるには特殊な運転技能が必要とされているに違いない。都バスも車体を広告媒体にするようになってカラーにもバリエーションが出てきた。一律にあんなに大きな車体でなくてもよいと思う。


4月7日(土)

入学式での学長の挨拶が大学のWebページに出ているので驚いた。私立大学の入学式は演出して派手にやるのも入学者確保のためには大事なのだろう。一芸とかAOを語って入試を行い有名人でも入学させればテレビ取材も来るので、大金を払って連れてきても宣伝費用としては十分元がとれるに違いない。そういえば、新宿校舎は各テレビ局(民放キー局およびNHK)まで30分以内で行ける、芸能人にはとっても便利な学校だ。

3月12日に献血ボランティアに言った話をここ に書きました。原稿用紙で40枚くらいになるし、リンク先を参照しながら読まないとわかりにくいところもありますが、一応簡単に読めるものにしたつもりです。

雑誌掲載の論文をHTML化したのを読んでも、ページ数がわからないので引用はしにくいだろう。実際に引用するならURLの方を明記すべきなんだろうか。


4月8日(日)

慶応大学湘南藤沢キャンパスの2学部が、オリジナルの入試を廃止するらしい。教員の負担をなくすというが、科目数も多くないし、教員数も多いし、1学部1日しかやらないんだから、うちに比べたらちっとも負担じゃないと思う。たいていの大学は、ちゃんとした入試問題を作る能力のあるレベルの学校であること証明するために自分で作らなければならないので、うらやましい話だ。

芝田進午さんが亡くなっていたんですね。ここで知りました。合掌。晩年ちょっと頑固過ぎたとは思うが、影響されていないとは言えない。

明日から八王子の朝の授業があるので早く寝よっと 。


4月9日(月)

新しい教室で授業をする。これまで比較的古い建物ばかりだったので他の大学に来たようだ。

鉄道写真を撮りにいったのに無人駅でのんびり寝ていたネコを被写体にしてフィルム1本を使い、写真を送ってくれたA君ありがとう。

ゲーム本だけじゃなく科学史の本も出していると実物を提示してくれた出版社の方、すみませんでした。(でも有名なゲームソフト会社の本社と同じビルの2つ上のフロアにあるらしいぞ。2001/04/13)


4月10日(火)

その人のせいで翌年からその専攻の修士論文に「上限字数」が制定されたというあの人がちょっと長いと言うからにはかなり長いのだろうと覚悟はしていたが、郵パックで送られてきた最新稿のコピーの束はずっしりと重かった。

手書きの時代なので清書に1月かかったというその修士論文がどのくらい長かったかというと、審査する教員の一人が堂々と「全部は読んでない」と白状したくらいだ。

「アドレス訂正のお願い」というメールが来て「初めての連絡で失礼します。私は、あなた様のホームページに「リンク」を張って頂いております、某某です」(「某某」は伏せ字、他は原文ママ)という挨拶とともに新しいURLが書いてあった。「貴ホームページの向上と盛況」まで祈念されているたいへん丁寧なメールなのだが、残念なことにリンクした覚えもないし、見たこともないページだ。

新手のスパムメールだろうか、それとも誰かが私の名をかたっているのだろうか。

単なる勘違いにも見えるが、知らない人からだし、メールの宛先は知人にしか公開していない方のアドレスだったのがたいへん気になる。(翌日に続く)


4月11日(水)

隅々まで自分の作成したページを探してみたところ、とっくの昔に忘れていたリンクがはってあるのを見つけた。ちょっとホッとした。(前日の続き)

組合の会議と夜の授業とその他。前期の第1週だというのに暑い暑い。

ついつい長時間ながめてしまったページ研究する人生。聞いたことのあるような話が多くて、誰か知っている人が書いているのではないかと思ってしまう。Web掲示板は、いろんな人が書いているうちに、その「板」に特徴的な文体が形成されてくるようだ。一種の地域言語か?


4月12日(木)

授業2時間。3年続けてこの教室だし、八王子で授業に出ていた学生はいるし、でなんだか慣れてきたみたいだ。用意していったプリントの枚数もほとんどぴったりだった。だんだんこうなっていくんだろうがちょっと緊張感が失われているかも知れない。

セミナー説明会には誰も来なかったので、このままだと研究セミナーは今年は開講しません。なければ他の仕事に力を注げるのはたしか。ちなみに、ふつうの会社員の残業手当てと違って、就業時間の不明確な大学教員の超過勤務手当は微々たるもの。

就職活動の季節。OBOGと志望者の面談など、学校は行事でフォロー。しかし、就職したいという学生の気持が、就職させたいという周囲の気持に追い付かないということは近頃よくあるそうだ。


4月13日(金)

「引用しても良いですか」というメールをくれた人がいる。丁寧だと思うが、そこまで許可を得ていたらきりがない。リンクについても同様だと思うので、トップページにリンクフリーと明記した。

上記の人は明らかにそういうつもりはないようだが、「引用したよ」というのは恩着せがましかったりもする。ちなみに、引用するようにと示唆しつつ論文を渡された経験もある。

寝不足を少し解消。たまっていたメールの返信を書く。

非常勤先での最初の授業。本務校と違って、行って教えて出てくるだけなので、自分の授業のことだけ考えれば良く、授業に集中できるという面もある。


4月14日(土)

労組の上部団体の主催するセミナーに参加して「団交」の仕方を初歩からお勉強。できるかぎり労組を作らせず、作っても活動させず、活動してもまともに交渉の相手をせず、交渉しても一切譲歩しないという某大手有名私立大学の理事会などの話を聞くと、他人事ながらたいへんだと思う。

新宿西口の地下でキーボードを演奏していた浮浪者(風?)おば(あ?)さんが亡くなったらしい。西口に通う人なら誰でも知っている人だ。車で轢いた人の弁が「人間とは思わなかった」というものであるのは悲しい。詩集を売っていた人のことも気になる。

これも研究ボランティア? ここによればネットワークに接続された計算機の余力を皆で出し合って小児白血病の研究に役立てるということができるらしい。小児の死亡原因第一位って、そうだっけ。


4月15日(日)

店が「記名あり」と注意を記した古本。表紙をめくったところに著者の名前が書かれている。しかし、投げやりな書き方で、たしかに「サイン」というより「記名」と呼ぶに相応しい文字。しかも銀色のペン。本人の手によるものか否か、謎である。

著者は投げやりなサインをするファンを大事にしない作家である、機嫌が最悪のときにサインを頼まれた、本の持ち主かその家族が漢字書き取りの練習に著者名を書いてみた、所有者の名前が著者とたまたま同じであった、著者が自分用に持っていた一冊であった、ペンの調子を試してみた、以上が現在のところ提出されている説である。

大学の公式ページにシラバスが出ています。こういう文字情報のページは地味で軽いのが一番だ。



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