DIARY 2001年9月前半



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9月1日(土)

20年前はにぎやかだったが今はシャッターの降りた店が目立つ商店街や、破産して自殺した近所の店の主人や、毎日常連客2人しか来ない実家の前の喫茶店の話を聞くと、田舎の不況は深刻なのだと思わされる。

鳴り物入りでオープンしたテーマパーク。30年で借金を返す予定だったのに、年ごとに入場者数が減っていて、3年目にはすでに採算ラインを下回って、社長が辞任したという話も。


9月2日(日)

『思想』は書評程度の短文に、ちゃんと別刷り30部を作って送ってくれる。知らなかった。『思想』は専門誌なのかときかれたら、抜き刷りがあると答えることにしよう。9月号は、ローティの著作に対する三島憲一氏の評がお薦めだ。

ジャズ的なドラムの叩き方で和製打楽器を打つと、けっこう雰囲気が違う。

現代的なネタを取り入れつつ古典をやる年輩の落語家だったが、「キムタク」の次に「くさがゆつよし」と言ってしまったあたりに限界が垣間見えた。

週末また、サーバにアクセスできなかったようだ。これをUPしているのは、月曜午前。


9月3日(月)

家で編集的作業。メールを数通。近所の区立図書館まで散歩。『図書新聞』と『読書人』を3ヶ月分読む。見逃している本を数冊発見。帰ってからネットで注文

仕事の続かないフリーターも、事件後の逃亡中はしっかり肉体労働現場で金を稼いでいたのだろうか。やればできるじゃないか。

新宿南口の、細長いビルに入っている漫画専門店で、ここが火事になったらすごいだろうなと思ったことはあった。何しろ紙だらけだ。

新宿の街を上の方から見るとわかるのだが、屋上に物置など別のものを「積み増し」しているビルが存在する。あれはまずいんだろうなあ、と思いながら見ている。


9月4日(火)

阿03系統のバスに初めて乗車。途中2ヶ所の停留所で、それぞれ時間調整のためと乗務員交代のためにしばらく停まっていた。けっこう時間がかかる。時間調整の際には、乗務員もバスから降りて外の空気を吸い、社内にはラジオが流れてのんびりした雰囲気になった。

ツチノコを捕獲すると賞金をくれる町があるそうだが、どのようにしてそれをツチノコと判断するんだろうか。厳正を期するためには、遺伝子による判定くらいはするだろう。しかし、もちろん幻の動物の遺伝子タイプは、まだ知られていない。既知のものと一致しなければ、ツチノコとされるのだろうか。しかし、それでは単なる新種のヘビの発見だ。ちなみに、ここによれば、同じ村の中にたくさんの目撃者がいるそうだが、中でも「安江」という名字の人の割合が群を抜いて多いことが気になる。

物理学者の江沢洋氏のを立ち読みしていたら、「今日は頭が冴えているので休講」という掲示を出した昔の大学教授の話が出ていた。どんなことになるか一度試してみたいが、その勇気はない。


9月5日(水)

火事報道でわかったように、新宿は風俗店や賭博場がたくさんあって、違法行為が平然と行われている怖い街だ。そんなところに大切な娘や息子を通わせることなどできない、と考える親が出てきそうなのがちょっと心配である。実際のところ、歌舞伎町と工学院大学は、新宿駅を中心に正反対の方角にある。それが良いことかどうかはわからないが、西新宿はけっこう健全。

昨日 のことだが、もっと「科学の面白さ」をいろんな人にわかってもらおうというのは、今の時代には困難だと思う。気持ちはわかるけど。むしろ、人間は科学技術のせいで死んだり病気になったりするかも知れないんだ、現代の避けられない敵は添加物や放射能や医療事故なんだと煽って、敵をもっと良く知ろうと誘導する方が、実際に身に付くものが多いのではないだろうか。実際にそういう教育をしようとは思わないが。


9月6日(木)

今日もまた、メールを書いたり、ファックスを送ったり、電話があったりだ。家にいながら仕事につながれている。

一太郎で作ったファイルを、送る相手がそれしか読めないかも知れないMS-Word形式で保存してみたところ、10倍以上の大きさのファイルになってしまった。フロッピーにぎりぎり入るくらいの大きさだ。マイクロソフトに対するジャストシステムの対抗策だろうか。

哲学の大学院がいかに不条理かを体験した元学生の手記を発見。自分の場合と比べてみる。似たような体験もないではないが、このケースと比較すれば私はかなり幸せな大学院生活を送ったことになると思われる。


9月7日(金)

大学と書いてある本や雑誌を見かけると、つい読んでしまう。もともと自分の業界のニュースに関心をもつのは当然のことだ。しかし、それだけでなく、最近はFD(ファカルティ・ディベロップメント=大学教育改革のための活動をこう呼ぶらしい)のシンポジウムのことなどが気になっているからでもある。こういうことばかり気にしていたくはないのだが、気になってしまう。

本来視野を広くもつべき研究者という人たちが、自分の所属する大学(or部局or研究分野)の生き残り戦略(しかも短期的な!)を練ることに汲々としていて良いのだろうかというのは当然の疑問。しかし、国立大学の独立行政法人化などがあって、世の中の大学人はそういうことを考えざるを得なくなるのではないだろうか。

『ソフトエネルギーパス』を著し、20年以上前にエネルギー問題の根本的な議論を行って一世を風靡したエイモリー・ロビンスへのインタビューがここに。相変わらずユニークなエネルギー政策を提言していて面白い。自動車は平均して96%の時間駐車されている、たいへんな「遊休資産」という考え方には、そういう見方もあるのかと思う。ロッキー山脈に住むロビンスは気づいていないかも知れないが、高い駐車場料金を取られるのだからなおさらだ。自家用車など軽々に持つべきではないということになる。

パスネットの裏には、乗車記録が44回分ほど書き込めるようになっている。(ほぼ使い終えたカードで数えてみた。)通常は初乗り140円だから、5000円のカードでもこれだけあれば十分だ。しかし乗り越し精算にも使えるので、極端な可能性を考えれば500回使用もありうることになる。この場合どこに記録されるのだろうか。銀行の通帳のように、2枚目に持ち越されるのだろうか。未使用分を残して印字が最後の欄まで進んでしまったとき、さらに「窓口にお持ち下さい」と印字されていたら、プログラマーの気配りに感謝したくなるだろう。誰か試して欲しい。


9月8日(土)

またサーバが動いていないようだ。各所にURLを公開してある学会の頁が見られないのはちょっと都合が悪い。日記も、(数は少ないが)毎日のように読んでくれる人がいるらしいので申し訳ない。

世界一日本のミニコミがそろう書店模索社の頁を発見した。今日まで気づかなかったが、ミニコミ系がネット進出するのは当然の道理である。ちなみに、模索社は新宿の書店で、東京観光の際にはぜひ一度は訪れるべき新宿の名所の一つ。刺激的かつマイナーな書籍がずらりと並んだ書棚から、これはどんな本だろうと1つ1つ手にとって見ていくと、とても楽しい一時を送ることができる。


9月9日(日)

「ドキュメント'01」は霊長研の天才チンパンジーを特集。普段より時間が長いということは、力が入っているのだろう。でも、チャンネルをCBSドキュメントに変えてしまった。ちなみにアイのページはこちら。作っているのは恐らく本人ではないだろう。大学の先生の研究室のページを大学院生が作っていたりする場合があるが、それと同じで誰か別のヒトが作っているに違いない。

明日は八王子に行かねばならないが、台風が近づいているらしい。中央線は大丈夫だろうか。交通手段不通の際の休校の原則は、追試の時にも適用されるのだろうか。

まだ八王子のサーバは応答がない。このファイルは日曜夜現在Zipの中。


9月10日(月)

台風はどうなっているかと心配で、朝起きて窓の外と天気情報をチェック。午前10時を過ぎると八王子のサーバが動き始めた。昨日までの日記をアップ。仕事は午後からだが、早めにでかけようと外に出る。雨が強い。

八王子は、いきなり雨がやんでセミが鳴き始めた瞬間もあったが、やはり天気は荒れ模様。追試験の試験監督。病気などの理由で試験を受けられなかった学生の数はそれほど多くない。それぞれ受験科目の違う学生がひとつの教室に集められている。間違えないように問題を配るのに神経を使う。もちろん間違えたら受験生の方が気づくはずだが。

それぞれ予備の問題があったので眺めていた。ちょっとなつかしい。Taylor展開の式は少し考えると思い出せたので、「数学演習」は受けても大丈夫そうだ。「電気磁気学II」はやめた方が良さそうだ。

月曜深夜も八王子サーバは、応答なし。週末は停電だったらしい(八王子校舎の掲示板で確かめた)が、今日のことは何も出ていなかったと思う。しかし、ネットだけ見る私のような場合、掲示板(紙を貼って掲示する古来からの掲示板のことだ)で連絡されてもあまり意味がない。(と思ったら、ちゃんと開いた。今午前3時半。)


9月11日(火)

台風15号がただいま都内を通過していますと、新宿駅でのアナウンス。まるで電車通過のアナウンスのようだ。

昼から学校。午前中からいた人は、ビルがゆっくりと揺れて船酔いするような感じだったらしい。揺れがおさまると、耐震構造の研究をしている建築学科の研究室の学生が、揺れの感じ方に関するアンケートに現れた。学内シンポジウムの準備、本番、反省会(?)。

新宿西口の高層ビル街で午後のほとんどの時間をすごして深夜家に帰ってくると、ニューヨークの世界貿易センタービルの事件でネットニュースもテレビも大騒ぎだ。


9月12日(水)

先月の21日に話題にしたネコの写真だが、実は有名なものだということを工学院の学生Y氏からのメールで知った。ここによれば、「核関連施設のそばで育ち、突然変異で体重が40キロにもなった猫」ということだ。

明日の学会発表の準備。たぶんできあがるのは直前。中央大学理工学部の最寄り駅を確認。

とか言いながら所沢に古本を買いに行っている。西武グループがリストラでつぶした出版社リブロポートから出ていたFantastic Dozens(荒俣宏編訳)が1冊900円。ただし、何冊もある巻と1冊もない巻がある。ハインズ博士の『超科学を切る』(井山弘幸訳)が定価より高かったけど、どうして? ここで売ってるよ。


9月13日(木)

最寄り駅は後楽園。駅ビルはずいぶん綺麗になっている。残念なのは、道路側にあった「地下鉄」の文字がなくなっていることだ。地上のあんなに高いところを走ってるじゃないかという「つっこみ」を誘発するような、挑発的に大きな字だったのに。

学会の大会で発表。15分間。3日間あるが、自分の発表の日しか行かないあたりに、力の入れ方がはっきりと現れる。

「パールハーバー以来」とか「第二のパールハーバー」という言い方があるようだが、アメリカ人は湾岸戦争を忘却しているのだろうか。(アメリカだけが手を下したわけではないが、)イラクの人が十万人単位で死んだことを考えれば、まだまだ仕返しとしては不十分だと考えている人がいても不思議ではない。(もちろんテロを肯定するつもりはないのだが。)


9月14日(金)

そろそろ学校が始まる。地下フロアに学生が増えてきたようだ。ということは夏休みが終わるということだ。実質的にはもう終わっている?

昼も夜も同じ顔合わせで、同じ会議室で会議。だいたい何となく同じ席に腰掛けてしまっていることに気づいてちょっとイヤになる。

最近このページが開くのに時間がかかるような気がするのだが。私のパソコンだけだろうか。

ISO14001(環境マネジメントシステム規格)の初動審査に備えて全員に資料が配られるというので、大部の冊子を読んで勉強する必要があるのかと思っていたら、目標等を書いた簡単な紙1枚が配られただけだった。しかし、メールで回せばさらに約400枚の紙の節約になる。


9月15日(土)

現在イスラマバードからの中継で大活躍中のNHKの記者の名前をどこかできいたことがあると思ったら、大学の1学年下の後輩だった人のようだ。ちなみに、彼はここによれば、ニューデリー支局時代にスリランカで自爆テロに巻き込まれている。

昨日(というか)未明に生物学史分科会のページを書き換えていたら、とっても時間がかかった。ハードディスクの中が整理されていないことと、サーバがなかなか反応してくれないことが理由。

休日の大学はけっこう静かだ。地下1Fの電気も早くに消えている。土曜の夜だってのになあ。そういえば明日は「夏休み最後の日曜日」だ。



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