DIARY 2002年2月後半



日記目次2月前半15161718192021222324252627283月前半


2月15日(金)

久々に自分のページを更新。こちらに『情況』1/2月号「特集:科学技術とリスク論」に掲載の文章を掲載したのがメイン。雑誌に載ったときは校正が落ちたので、こちらの方が著者の考えていた「正しい」バージョンということになります。編集部はとても忙しそうで、メールを送っても返事が来ないことが多いほど。相談しようかと思ったがかえって迷惑だと思い新しい版をこちらに掲載しました。

この原稿を書いたことによる最も貴重な体験は、同誌の目次で重信房子田中義三といった著名人と同列に名前が並んだことである。

土曜夜から月曜朝まで停電(予定)でこのページが読めなくなります。


2月16日(土)

クローンネコのニュース。家畜の次はペットだと言われていたが、本当にその通りになった。模様は同じにならないらしい。発生の過程や環境が影響しているのだろう。しかし模様はネコの「アイデンティティ」だ。これでは、いくらクローニングで作ったといっても別ネコだ。それに、はかない命で飼い主より早く死んじゃうからこそペットを安心して飼えるのではないのだろうか。


2月17日(日)

群馬県川場村が東京都世田谷区との合併を考えているという。都道府県を超えた合併はできないという規程はないそうだ。人口では世田谷区の方が100倍もあるが、面積は小さいという思いっきり非対等な合併だ。

ただしこの調子で地方の市町村が都会の市区と合併していくと、数十年前のアフリカや南アメリカのように地図が「植民地」状態になりそうな気もする。他方で「富の再分配」に見えないこともない。国としても地方交付税の対象だった弱小町村を都会の自治体が引き受けてくれるというのだから、良い話のようにも思える。日本地理マニアとしては、さぬき市や浜名湖市以上に注目に値する合併アイデアとして継続してウオッチしていきたい。

疑問はいろいろある。一つの都道府県に属することになるのか、それとも一つの自治体が複数の都道府県に属する地域を持っていても構わないのか。都民として都立高校を受験できるのか。群馬県立高校には他県在住者扱いになるのか。運転免許やパスポートの手続きはできるのか。村内を走る県道の所有権は。世田谷区は三宅村でも合併した方が良いのではないのか。


2月18日(月)

小学校2年生に「ひとまねこざる」なんて、幼稚園児扱いするなという抗議の声は出なかったのだろうか。それなりに感動もある「しろいうさぎとくろいうさぎ」ならまだ許せる気がするのだが、よりによってあの無表情な「きいろいぼうし」だ。日本の子供が「さる」の登場を面白がると思っているのだとしたら、一度日光に行って勉強してもらいたい。他に読み聞かせのレパートリーがないのか。日本では知られていないとでも思っているのか。それとも「ひとまねこざる だいとうりょうになる」とかいう特別バージョンでもあるのか。(そういえば「ジョージ君」だったような・・。)

冊子小包2通、ゆうパック2通、普通郵便2通。新宿郵便局はギリギリ中が見える程度の小さな穴でも文句を言わずに冊子小包の印を押してくれるのでうれしい。


2月19日(火)

1万円で「庶民の味」はないもんだ。「○将」の2980円飲み食べ放題(ただし厳格に2時間限定)コースなどいかがか? あるいは、新宿雑居ビルの1フロアにあってかけ声だけ威勢良く(よーろこんでー!)、酎ハイという色の付いた水を出す店で、うるさい大学生のコンパ集団に遭遇してみると良いだろう。吐瀉物をかけられないように注意が必要だ。

凍結卵を保存してくれることで有名な医院が今度は、40代の女性の卵の核を、除核した若い女性の卵 に移植した後、体外受精を試み、発生を開始させることに成功したそうだ。現在凍結中だが、子宮に戻すことも考えていると言う。核移植はクローン作製の中心となる技術だ。しかし、「人に関するクローン技術等の規制に関する法律」の禁止行為を定めた「第三条」は、「何人も、人クローン胚、ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚又はヒト性集合胚を人又は動物の胎内に移植してはならない。」となっており、ここで「人クローン胚」とは「ヒトの体細胞であって核を有するものがヒト除核卵と融合することにより生ずる胚」を意味するとなっているので、体細胞の代わりに卵を用いたこの移植は「人クローンの作製」とはならず、ここで禁止されていることにはあたらない。朝日新聞によれば、こういった場合の卵子提供の是非はこれから問題になるということだが、一昨年末に「厚生科学審議会先端医療技術評価部会 生殖補助医療技術に関する専門委員会」が出した「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書」によれば、「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受ける条件について」において「加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない」となっているので、そもそも加齢による不妊は対象外という見方もなりたつ。何らかの病気で妊娠できない場合に子供をつくる技術を提供するのは「不妊治療」と言えても、歳をとったことによって妊娠しにくくなったのを何とかするのは「不妊治療」じゃないだろうというわけだ。「代理母以外の不妊治療に何でもOKを出した」と評判の悪いあの報告書だってやめようって言っているのに・・・。ちなみにこの病院は、職場のすぐ近くだ。なお、上記朝日の今井氏の言葉は体細胞クローンを念頭に置いているようなので、ちょっと違うんじゃないかと文句を言う人がいるかも。


2月20日(水)

昨日、本日と年賀状が各1通届いた。どうやら旧正月ということらしい。うち1枚は「お年玉付き年賀葉書」だった。しっかりと、ここで確かめてしまった。

年度末の大学事務は忙しい。入学と卒業があるせいだが、学生の出入りはそれだけではない。最近はどこの大学でも休学、復学、退学が増えているという。編入も増えている。学生名簿の管理だけで、ここ10年で急激に複雑になっているはずだ。

春休みのはずだが、3年生は就職活動関係、4年生は卒論後の作業で大学に来ている。新宿校舎にほとんど休みという雰囲気はない。

生協出資金の増資が求められる話を聞きながら、21年前に大学入学時に支払った出資金(たしか1万円)を返してもらっていないことを思い出していた。まだ、返してもらえるだろうか。探せば組合員証は見つかるはずだ。自分のもののように思っているのだが、当然のことながら当時支払いをしたのは親だ。


2月21日(木)

川崎市立看護短大の物理の入試問題で100点中35点分が出題ミスだったというニュース。国立大学の教授などに任せないで河合塾に任せた方が良かったのではないだろうか。入試委員が問題を見ても誰も間違いに気づかなかったというのだから、物理の問題を作れる人がいないどころか、そもそも物理の問題を解ける人がいないのではないか(しかも物理IB)。それで物理を出題するというのがそもそも間違いかも知れない。受験者も4人だという。ただ、出題ミスというのは、大学関係者にとっていつ他人事じゃなくなるかわからないので、油断は許されない。

全員に35点を与えるらしいが、それは物理選択者が有利になるということなのか。それとも、「偏差値法」(という言い方をするらしい)を用いて得点調整をしているので関係ないのか。しかし、4人しか受けない科目で偏差値を出すのかなあ。もし偏差値法を用いているのだとして、物理受験者がどうしても合格したいと思えば、数人友達を雇って物理で受験させて0点を取らせると良いだろう。偏差値がぐっと上がるはずだ。こういう不正は防ぎようがない。あ、そういえば工学院にも選択者が非常に少ない科目があったような・・。本当に他人事じゃない。もし偏差値法の入学試験で2人しか受けないということが起こったら、60になるか40になるか(あるいは同点で二人とも偏差値50)の一騎打ちになって面白い。しかし、受験者が1人だったら、どんな点数をとっても50じゃないのか。これは問題だ。(受験者の点数が全員同じ場合、本当は偏差値は「定まらない」のが正解かも知れない。でも数字を出さないと困る場合はどうにかして出すんだろうね。2002/02/22)


2月22日(金)

以前書いたことと似たようなことを書くのはストレスになる。校正も同じ。同じ内容の授業を2時間続けてやるのも、精神的に苦痛な場合がある。かといって、別のものを作るだけの余裕はないのだが。

昨日の続きだが、受験者の点数が全員同じ場合、本当は偏差値は「定まらない」というのが正解のような気がする。しかし、数字を出さないと困る場合はどうにかして出すんだろう。

ゲーム機販売の切り込み隊長は、セガの場合専務だったが、マイクロソフトは会長か。よっぽど売れないことが予想されているということだな。販売開始日をオリンピック期間中に設定するとは、長野のときほど日本人家庭のモニターが五輪放送に占拠されていないことを予測していたのだろうか。


2月23日(土)

宮崎アニメを題材にした著作で有名で、経済学の大学院出身なのに倫理学の授業もやっている稲葉振一郎氏がここで連載をしているのを発見。文体が誰かに似ていると考え、山形浩生ではないかと思いついた。他に「やさしい経済学」的文章を読まないので、気のせいかも知れないが。

朝鮮戦争の時に韓国内に従軍慰安婦が存在したという研究が発表されたというニュース。今まで日本ばかり悪者にしやがって、と待ってましたとばかりに声を上げる人がいそうだ。他人がやっているからといって自分の非が消えるわけではないのに。また、従軍慰安婦という制度を韓国に根付かせたのが日本だとしたら、責任関係はもっと複雑だ。

2001年度分の文章をハードディスクの中で整理。1年間に作ったファイルが100を超えていることがわかった。


2月24日(日)

翻訳書の著作権について調べていて一番驚いたのは、こんな法律がまだ生きていることだった。いまどき「連合国」なんて。

X-boxは「ブロードバンド対応」だそうだが、要するにLANカードが入っていることなのかな? はっきりしているのは、本体もコントローラも大きいことだ。きっとアメリカサイズなのだろう。もし、日本であまり売れなさそうだったら、ハードディスクにウィンドウズをインストールしておくと良い。ぐっとお得度が増すはず。ゲーム機として使えなくてもパソコンになります、って言えば買う人もいるだろう。


2月25日(月)

すでに大学は来年度の準備態勢。委員会役割分担など。

知らないうちにもうすぐ2月が終わる。そういえば、これの分担原稿の締め切りだった。 。

予備校の直前講習の問題が実際の東大の入試問題とそっくりだったらしい。こちら。驚くことではない。似たような人が作ってるんだから。特に問題文の著者(村上陽一郎)に教わった経験のある人など、双方にたくさんいるはずだ。

河合塾は最近入試問題作成を請け負うらしいが、まさか東大は頼んでないだろう。

河合塾理事の書いたこの本によれば、東大は良い入試問題を作る代表校ということになっており、その背景は90年代の大学設置基準の大綱化に際して東大が教養部(教養学部)を解体しなかったところにあるとされている。大学関係者にとっていろいろと示唆的な話である。


2月26日(火)

昨日で入試の受付は終わった。明日が最後の入試(第2部の入試)だ。できるだけ直前まで受け付ける方針にしたそうだが、どうせなら試験開始時刻まで持参OKにしても良いのではないか。当日来た学生に願書を書かせ、三分間写真を撮らせて受験票を作成し、ATMで受験料を振り込ませる。ここまで、地下1Fの一角でできる。当日大量の受験生が押し掛けて事務手続きが間に合わなくなる・・・などということは想定外のリスクとして良かろう。

そう言えば、駅前(厳密には一台は駅中)に3つ目の三分間写真機が登場。乗降客が決して多くない当駅では、どこかが脱落しそうだ。ちなみに三分間写真機の歴史はこちら

NINTENDOGCのゲーム「動物番長」の設定と世界観はなかなかシュール。餌を食って、メスと交尾して、強くなっていくゲームだそうだ。基本的欲望を忘れかけている現代人に訴える何かがあるとか、弱肉強食の実力社会になっていく日本の世相を反映しているなどと論評する勘違いさんが出てくるかも知れない。売れれば、だが。ちなみに、主人公の性別は「オス」と決まっている。「野生」=「オス」なのかな?


2月27日(水)

日本機械学会の建物はすごいなあ、事務所はきれいだなあ、会議室の椅子は座りやすいなあ。お金のある学会は違うなあ。文科系の学会とは全然違うという印象。

技術者倫理のセミナーを「受講」。学校の費用で勉強させてもらえるので、面白がって行くが、宿題も出た。配置転換要員のおじさんもこうやっていろいろ勉強するのだろうなとも思う。

スキャナー用のソフトをインストールしようとして、不覚にも誤って「浅野某の手相占い」まで入れてしまった。


2月28日(木)

セミナーは修了。修了証書なるものを手に入れた。厚めの紙にプリントしたものだった。私には関係ないが、技術者の継続教育ということで、数十ポイントの「経験値」を獲得したことにもなるそうだ。

セミナー講師札野氏の100枚にのぼるパワーポイントのスライドは圧巻。あれ、欲しいな。いくら出せば売ってくれるだろう。

実家近くのダイエーの閉店が発表される。イオンにやられた。他の店と違って定価より多少安い「おやつ」を買うため、毎年遠足前日に訪れたあの建物は、他に使いようがないだろう。きっと取り壊されるに違いない。学校の決まりで「おやつ」は100円以内。たしか、カッパえびせんが38円だった。



日記目次前頁次頁 :メールは こちら