工学院大学 工学部 機械システム工学科 ヒューマンインターフェース研究室


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パーソナルファブリケーションによるレスキュ-ロボットの普及開発

背景

本事業では、これまでのレスキューロボットの知見に加えて、より多くの人類の英知を結集してレスキューロボットの設計に生かそうと考え、パーソナルファブリケーションのコンセプトをもちいて、専門家および非専門家のそれぞれが災害時に導入可能なレスキューロボットの設計開発をおこなうことができるスキームを開発する。実施方法としては、以下の通りである。(1)シンプルで導入しやすい価格のレスキューロボットのコンセプトを作る:我々の研究グループは10年間にわたって、小型レスキューロボットの開発をおこなっており、導入しやすい価格の目安としては、現在、急速に家庭に導入がすすんでいるお掃除ロボットを基準にして上限5万円程度のコストで導入できるレスキューロボットの仕組みを考える。(2)パーソナルファブリケーションに基づくロボットの開発。MITビット・アンド・アトムズセンター所長のニール・ガーシェンフェルド氏らが提案するように、21世紀は、情報技術に加えて製造技術の発達により、プリンタで精巧な印刷物を自宅でつくれるように、ロボットなどの「もの」に関しても、誰もが気軽に物作りができるようになることが予想されている。そこで、本研究では、レスキューロボットに関して、非専門家が自らロボットを作成できるスキームおよびキットを開発・提案し、実証実験によりその有効性を確認する。

研究成果

(1)パーソナルファブリケーションによるレスキューロボットの基本調査
(ア)パーソナルファブリケーションに関する調査
新しい設計コンセプトである,パーソナルファブリケーションについて,共同研究先の東京経済大学のゼミと合同で勉強会を10回程度開催し,次のような点について調査をおこなった.(1)PF時代のものづくり(2)PF時代の著作権問題(3)PF時代の製造物責任
(イ)ロボットの基本機構に関する検討
3Dプリンタの造形特性の調査,3Dプリンタで造形可能な可動部を有する基本機構の設計,3Dプリンタによる製作,製作した基本機構の評価を行った.3Dプリンタの造形方式には様々な方式があるが,本研究では,比較的安価なFDM方式を用いた3Dプリンタである「stratasys社 uPrint SE」を使用した.
(2)パーソナルファブリケーションによるレスキューロボットの設計・製作
②の造形特性試験によって得られた3Dプリンタの造形特性を元に設計寸法を決定し,可動部として並行リンクを有する小型移動ロボットの設計し基本性能の評価をおこなった.設計・製作した小型移動ロボットのCAD図を図2に示す.
(3)パーソナルファブリケーションによるロボットのキットの製作評価
  共同研究を実施している東京経済大学の文系学生を被験者として,3Dプリンタで造形したレスキューロボットキットの組み立て実験をおこない,評価・課題の検証をおこなった.

研究成果

(1)補助事業により作成したもの
   3Dプリンタをもちいたレスキューロボット
(2)(1)以外で当事業において作成したもの
[1]パーソナルファブリケーションにおけるモノ造りに関する研究,工学院大学卒業論文 
[2]3Dプリンタの未来 ―消費社会にもとらす期待とリスク, リスクマネジメント協会日本支部(ARMJ)第14回年次大会
[3]レスキューロボットのためのインターフェース開発, DIA2014 動的画像処理実利用化ワークショップ2014
[4]3Dプリンタを用いた小型ロボットの為の機械要素および製造に関する研究,  ロボティクス・メカトロニクス講演会2014

取材対応

[1]平成25年 6月21日 補助事業パンフレットのインタビュー
[2]平成25年 10月18日 (財)JKA広告記事 研究紹介
[3]平成26年 3月 新聞等取材受け入れ(5月7日保険毎日新聞) 

(本研究は、平成25年度 財団法人JKA 競輪補助事業の補助により研究をおこなっております。)
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Fig1.jpgfig.1
Fig2.jpgfig.2
Fig3.jpgFig.3