2002年度 生物学史分科会 月例会
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日時:2月2日(土)午後3:00〜
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発表者:小山幸子氏
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題目:ヤマガラ芸の文化史
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場所:東京大学駒場キャンパス(旧教養学部)14号館3階303号室(キャンパス内西端テニスコート横)京王井の頭線「東大駒場前駅」下車、渋谷寄り改札を出て正門手前に構内案内板があります
- *小山氏は東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系。わが国に古くから見られた鳥の芸としてヤマガラ芸があったことを知る人はすでに少ない。この鳥の芸のご紹介も含めて、その歴史や他国との比較などを通して、わが国における小さな動物文化史をたどっていただきます。 (抄録は『生物学史研究』69号に掲載されました。)
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日時:3月2日(土)午後3:00〜
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発表者:浮ヶ谷幸代氏
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題目:慢性病のエスノグラフィ:糖尿病者の「病気だけど病気ではない」
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場所:東京大学駒場キャンパス(旧教養学部)14号館3階303号室(キャンパス内西端テニスコート横)京王井の頭線「東大駒場前駅」下車、渋谷寄り改札を出て正門手前に構内案内板があります
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*浮ヶ谷氏は国際医療福祉大学非常勤講師。病気をめぐる社会的な諸言説による「構造化」の中で、それに部分的には従属せざるを得ないものの、個人の自律性や創造性を確保し、自分流の生き方、「生きる術(すべ)」を見出す糖尿病者の姿を語っていただきます。(関連論文が『生物学史研究』69号に掲載されました。)
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日時:3月23日(土)午後3:00〜
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発表者:鈴木則子氏
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題目:江戸時代の湯治と温泉医学〜城崎温泉と有馬温泉の盛衰をめぐって
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場所:東京大学駒場キャンパス(旧教養学部)14号館3階303号室(キャンパス内西端テニスコート横)京王井の頭線「東大駒場前駅」下車、渋谷寄り改札を出て正門手前に構内案内板があります
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鈴木則子氏は奈良女子大専任講師。旅を伴う遠方への湯治が庶民生活に普及していく江戸時代中期、城崎温泉の発展著しく、古代以来の名湯有馬は客が減少する。両温泉の盛衰の過程をあとづけ、庶民の温泉の選択基準が、新しく形成された温泉医学や、メディアの発達、疾病構造の変化などと深く関わっていたことを論じ、江戸時代の庶民の医療環境について考えます。(抄録は『生物学史研究』69号に掲載されました。)
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日時:4月27日(土)午後3:00〜
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発表者:森修一氏
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題目:草津湯の沢の人々:草津湯の沢ハンセン病自由療養地の研究
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場所:東京大学駒場キャンパス(旧教養学部)14号館2階208号室(キャンパス内西端テニスコート横)京王井の頭線「東大駒場前駅」下車、渋谷寄り改札を出て正門手前に構内案内板があります
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森修一氏は福島医大医学部微生物学講座主任医療技師(医学博士)及び東京大学大学院総合文化研究科博士課程(科学史)。群馬県草津温泉に戦前、約60年にわたって存在した日本で唯一のハンセン病者の自由療養地の研究を通して、日本のハンセン病政策が何故に絶対隔離へと向かったのか、また、湯の沢の存在が戦後の患者運動にどのような影響を与えたのかについてご発表いただきます。(関連論文が『生物学史研究』71号に掲載される予定です。)
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日時:6月29日(土)午後3:00〜
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発表者:中島理暁氏
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題目:歴史としての倫理委員会:アメリカの経験と日本への示唆
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場所:東京大学駒場キャンパス(旧教養学部)14号館2階208号室(キャンパス内西端テニスコート横)京王井の頭線「東大駒場前駅」下車、渋谷寄り改札を出て正門手前に構内案内板があります
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中島理暁氏は国立国際医療センター研究所代謝疾患研究部協力研究員/日本福祉大学非常勤講師。 アメリカにおけるバイオエシックスの制度的基盤であるといわれる倫理委員会、特に病院倫理委員会のこの30年あまりの展開過程を現地でのフィールドワークによって得られた知見も交えながら素描し、その歴史的経験から、生命倫理制度のあり方を模索しつつある我が国が何を学び得るのかを考察します。
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日時:7月13日(土)午後3:00〜
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発表者:香西豊子氏
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題目:献体運動と「篤志」
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場所:東京大学駒場キャンパス(旧教養学部)14号館3階303号室(キャンパス内西端テニスコート横)京王井の頭線「東大駒場前駅」下車、渋谷寄り改札を出て正門手前に構内案内板があります
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香西豊子氏は東京大学大学院 総合文化研究科 国際社会科学専攻(相関社会科学コース)博士課程。日本の大学において医学・歯学を志す者は、解剖学実習(正常解剖)を受講することが必須とされる。が、そのときに用いられるライへ(解剖体)は、明治以降を考えただけでも、さまざまな変容をみた。今回の発表では、特に昭和30年以降にはじまったとされる、献体運動、すなわち死後自らの遺体を無条件・無報酬で解剖学教室に提供しようという運動の軌跡を取り上げ、それが推進される際に繰り返し唱えられた「篤志」なるものが、いかに涵養されたかを検証する。 この献体運動は、たとえば、臓器移植や献血などのあり方を考える上で、ひとつの重要なモデルとなっている。「最後のボランティア」、「いのちのおくりもの」、「愛の献血」といったもの言いがどのように派生しているのか、それらを相対化する方途を探りたい。
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日時:10月5日(土)午後3:00〜
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発表者:瀬戸口明久氏
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題目:「自然の支配」と応用昆虫学―戦前期アメリカにおける害虫防除技術の展開
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場所:東京大学駒場キャンパス(旧教養学部)14号館3階303号室(キャンパス内西端テニスコート横)京王井の頭線「東大駒場前駅」下車、渋谷寄り改札を出て正門手前に構内案内板があります
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瀬戸口氏は京都大学文学研究科(科学哲学・科学史研究室)博士課程。レイチェル・カーソンは『沈黙の春』(1962)で、化学殺虫剤によって「自然を支配」しようとする応用昆虫学のあり方を批判した。本発表は、これまであまり注目されてこなかった戦前期の害虫防除技術を取り上げ、応用昆虫学が「自然を支配」する体制の成立過程を明らかにする。その際、害虫防除技術の発達だけでなく、応用昆虫学をめぐる社会的状況や、当時の代表的昆虫学者 L.O.ハワードの自然観が果たした役割について考察する。また、日本における昆虫観の変遷についても言及したい。
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日時:11月30日(土)午後3:00〜
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発表者:林浩二氏
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題目:沼田眞と日本の環境教育
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場所:東京大学駒場キャンパス(旧教養学部)14号館3階303号室(キャンパス内西端テニスコート横)京王井の頭線「東大駒場前駅」下車、渋谷寄り改札を出て正門手前に構内案内板があります
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林浩二氏は千葉県立中央博物館生態・環境研究部生態学研究科。生態学者・沼田眞は、日本の自然保護や環境教育の発展に寄与した。その足跡をたどることから、日本の環境教育について考察していただきます。