2007年 生物学史分科会 月例会
- 日時:2月17日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:梶谷真司氏(帝京大学文学部国際文化学科・助教授)
- 題目: 江戸時代の育児書から見た医学の近代化――桑田立齋『愛育茶譚』の翻刻と考察
- 内容紹介: 医学の近代化が論じられる際、たいていは理論書に記された専門家の見方に焦点が当てられています。しかし、民衆のために活躍した実践家の場合はどうだったのでしょうか。今回の発表では、江戸時代の育児書という、専門家と民衆の中間に位置する書物から、蘭医方の影響を受けた医学の身体観や病因論、その近代化についてお話いただきます。
- 日時:3月17日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:佐伯朝彩子氏(東京大学非常勤講師)
- 題目:近代闘牛の確立と「残虐性」の問題――スペインにおける闘牛をめぐる論争から
- 内容紹介: スペインの闘牛にたいする批判・論争は、19世紀後半に、動物の苦痛を争点として展開しはじめました。では、その時点から現在までに、闘牛ははたして、どのように動物に対する行為の「残虐性」という問題を咀嚼し、「人道的」になっていったのでしょうか。今回の発表では、闘牛の様式の変化という観点から、近代闘牛が確立されるに至るまでの歴史についてお話いただきます。
- 日時:4月21日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:加納由起子氏(神戸女学院大学・非常勤講師)
- 題目:近代フランス生気論の歴史(2)死と胎生の間で生理学は何を継承したか――ビシャの問題
- 内容紹介: 18世紀後半の生理学は、感覚と運動の法則に生命原理を求めるものでしたが、ビシャはそこに死の原理の比論を導入することで、生理学的思考を再編成しました。その後、逆説的に、生理は病理と乖離していきます。 今回の発表では、19世紀初頭の生理学を模索することを通して、ビシャ最終稿の問題に光をあてていただきます。(※2006年11月度月例会の発表の続きとなります。会場には、前回のレジュメもご用意いたしておりますので、前回おいでになれなかった方も、ふるってご参加ください。)
- 日時:5月19日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:田中丹史氏(東京大学大学院総合文化研究科・博士課程)
- 題目:フランス生命倫理三法の制定とその後
- 内容紹介: 1994年にフランスで制定された生命倫理三法は、生殖技術・臓器移植・医療情報に関する規定をまとめ、人体に関する総合的な法律であると言われています。このような法律がなぜ必要とされたのか、また制定後10年余りの間に、運用面でどのような問題が生じてきたのかを、生殖技術の分野を中心にお話いただきます。
- 日時:6月30日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:中村智恵美氏(自由民主党中央政治大学院研究員)、住田朋久氏(東京大学大学院総合文化研究科・修士課程)
- 題目:住田:「『人口問題』の変遷〜〜過剰人口論の先行研究から〜〜」、中村:「わが国の少子・高齢、人口減少問題の現状と課題について」
- 内容紹介:住田:現在、日本において人口が問題とされる場合、それは主に「少子・高齢化、人口減少」を指します。しかし、1970年前後には、むしろ世界規模で人口爆発が懸念されており、日本でも何人かの生態学者が、「地球の定員」を試算していました。住田氏の発表では、まず「人口問題」の内実が、時代によってどのように変化したのかについて跡づけていただき、つづく中村氏の発表に、歴史的な奥行きをそえていただきます。(※学芸総合誌『環』2006年夏号(藤原書店)、「『人口問題』再考」等を参照予定)
- 内容紹介:中村:このわが国の特異な人口動態の変化、さらに世界に類を見ない程のスピードで進展する少子・高齢、人口減少問題を、われわれは一個人としてどのように受け止め、どう行動していけばよいのでしょうか。中村氏の発表では、住田氏の発表を受けて、「問題」の現状を具体的なデータをもとに整理していただき、今後、議論を深めてゆくにあたっての道筋をご提示いただきます。
- 日時:7月21日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:田野尻哲郎氏(東京大学大学院総合文化研究科・修士課程)
- 題目:「癒し」の概念史――1990年前後の日本
- 内容紹介:日本においては1990年前後に、「癒し」という言葉に関して、認識論的切断が起きました。そして、病院という場で展開する医学・医療に、この「癒し」概念が取り入れられるようになります。今回の発表では、そうした民間のムーブメントによって学知が変容させられる様相を、「癒し」概念を軸に報告していただきます。
- 10月27日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 話題提供者:香西豊子氏(日本学術振興会特別研究員)
- 内容紹介:今年度の「夏の学校」にて配布した、香西氏の近著(下記)をテキストとし、「歴史研究と現代」について、広く討論形式にて考えます。
- 『流通する「人体」――献体・献血・臓器提供の歴史』(勁草書房)
- 11月25日(日) 午後2:00〜5:00
- 場所:エルおおさか(大阪府立労働センター)南73(京阪・地下鉄天満橋駅から300m)
- 発表者:百崎清美 氏(大阪大学大学院文学研究科)
- 『人間機械論』という鮮烈なタイトルの著作で18世紀に物議を醸したラ・メトリは、実は物質に特殊な能力を認めることによって人間を機械であると定義した。本発表では、特殊な機能を物質に認めたときに、生命と物質の境界はどのようなものとなるのかを検証する一端を捉えたい。