2008年 生物学史分科会 月例会
- 日時:1月26日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:サイジラホ氏 (東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
- コメンテータ:愼蒼健氏(東京理科大学)
- 発表タイトル:1930年代の内モンゴルにおける自治運動と善隣協会の文化事業――その医療活動を中心に−
- 概要:1930年代の内モンゴル中部地域におけるモンゴル人の自治運動の結果として、日本勢力による「蒙彊政権」が樹立され、日本による植民地化の進展に伴い、善隣協会の医療活動を含む文化事業が始まります。そうした社会変動の中で、チベット医学の流れを汲むモンゴル伝統医療の歴史は再構築されるようになりました。今回のご発表では、善隣協会の内モンゴルでの医療活動を分析することによって、伝統医学と近代医学が如何に結び付けられたかを考察していただきます。
- 日時:2月2日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:米本昌平氏(東京大学先端科学技術研究センター)
- 発表タイトル:ハンス・ドリーシュの再定位
- 概要:20世紀初頭に新生気論を提唱し、生命論で大きな議論を巻き起こしたハンス・ドリーシュは、主として論理実証主義派の科学哲学から非科学の典型とされ、これが第二次世界大戦後、広く受け入れられてきた。しかし、100年後の現在、生命科学が古典的な分子生物学的生命観から大きく変貌しようとしている。その中でドリーシュが終生主張し続けたエンテレキーを『情報性を供給する自然因子』と解釈することで、どのような歴史的・思想的・科学哲学的展開の可能性があるか、展望を試みる。
- テキスト:ハンス・ドリーシュ著・米本昌平訳『生気論の歴史と理論』(書籍工房早山/2007年)
- 日時:6月28日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:田中丹史(東京大学大学院総合文化研究科・博士課程)
- 題目:アメリカ国家生命倫理委員会の歴史−−多元主義社会の中の互恵
- 内容紹介: アメリカのバイオエシックスでは、1970年代の国家委員会から今日の大統領評議会まで、連邦レベルの生命倫理委員会が大きな役割を果たしてきました。
今回の発表では、いくつかの委員会の活動を振り返りながら、アメリカの多元主義社会を背景とした一種の文化ともいうべき、倫理基準作成パターンの抽出を目標としつつ、ご報告をさせていただきます。
- 日時:7月19日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:関谷翔氏(東京大学大学院総合文化研究科・修士課程)
- 題目:公共政策論から観た環境リスク論の性格づけ(仮)
- 内容紹介: ウルリヒ・ベックは,富の再分配ではなくリスクの再分配が社会の中心的な問題として問われるのが現代であると指摘しています.実際,現在の リスク行政は,技術官僚モデルに基づき,リスク評価とリスク管理を分離して政策 決定を行っていますが,これはリスクの再分配という観点からどのように捉えることができるでしょうか.今回の発表では,富の再分配についての論を下敷きにし,主に公平・効率の観点から,現在行われているリスクの再分配の特徴についてご報告していただきます。
- 日時:9月27日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:田野尻哲郎氏(東京大学大学院総合文化研究科・博士課程)
- 題目:医療から体育へ、1956-1968年 野口整体の史的変容と、日本伝統医療の持続可能性(仮)
- 内容紹介: 18世紀中盤に確立した日本の伝統医療は、「医制」(1873年)施行によって壊滅的打撃を被り、現在では多種多様な集団が実践する諸医療技法として、現代医療の周縁としての役割を担うに過ぎない。これを補完・代替医療と位置づけて現代医学へ統合する現在の医療政策のなかで、日本の伝統医療に持続可能性はあるだろうか。
伝統医療に関する研究は、日米欧で1980年代後半から宗教学・社会学の分野で隆盛をみており、日本では「癒し」論、「つながりの回復による癒し」論による研究があり、いずれも伝統医療の本質を共同性と倫理に見るが、歴史性を考慮しない分析に止まる。本発表では、野口整体を題材とし、医療人類学のR.Katzが、世界の持続する諸伝統医療の本質として提示した“Education as Transformation”概念(以下ET)を踏まえながら、日本伝統医療の史的変容過程を通時的に分析し検討する予定である。
- 日時:11月1日(土) 午後3:00〜5:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:八代嘉美氏(東京大学医科学研究所幹細胞治療部門)
- 内容紹介: 八代氏の近著(下記)をテキストとし、iPS細胞研究を中心とした再生医療の問題について、様々な角度から広く討論形式にて考える会とさせていただきます。皆様のふるってのご参加をお待ちしております。
八代嘉美(2008)『iPS細胞−−世紀の発見が医療を変える』(平凡社)
- 日時:11月22日(土) 午後3:00〜5:30
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)地図
- 発表者:朝倉幹晴氏(駿台予備校講師(生物学))
- 演題:地図・言葉・体・死〜予備校講師から小中高校教育への提言
- 内容紹介:『休み時間の生物学』講談社、2008年10月をご出版なさったばかりの朝倉氏から、十数年間に渡る、みずからの科学教育・科学コミュニケーションの実践から得られた知見に基づく教育政策論をご提示いただく予定でおります。皆様のふるってのご参加をお待ちいたしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。