2025年 生物学史研究会
- 今回の生物学史研究会では、平井正人氏から「フランス生物学」の誕生に関する研究についてご発表いただき、小松美彦氏からコメントをいただきます。対面(東京)およびオンラインにて開催いたします。
- 平井正人氏(東京大学大学院経済学研究科特任研究員)「オーギュスト・コントの生物学:パリ学派とモンペリエ学派の対立を超えて」
- コメンテーター:小松美彦氏(東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構客員教授)
- 日時:2025年2月15日(土)15:00-18:00
- 開催場所・方法:東京大学駒場キャンパス16号館119・129教室/Zoom(下記のリンクよりお入りください)
- https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/83075263572?pwd=fbTkbISLQabtNFIbgR2Lf7n2vKos0P.1
ミーティング ID: 830 7526 3572
パスコード: 647408
- 参加をご希望の方は、以下のフォームよりご登録いただけますと幸いです。
参加登録フォーム【研究会のみ】:https://forms.gle/75onoWuPtXLmYLos7
- [発表概要]
- フランスの哲学者ミシェル・フーコーは、彼の主著の一つである『言葉と物』の中で、18世紀に「生物学は存在しなかった」と述べた。この指摘に関しては、研究者の間で賛否両論があるものの、「なぜ1800年頃を境に、主としてフランスとドイツで、何人もの学者がほとんど同時に、しかも独立に、生物学という語を使い始めたのか」という問いは、依然として残されたままである。
昨今の研究を見てみると、17世紀から18世紀までの生命科学史を専門とするシャルル・ヴォルフは、生物学(biologie)と生気論(vitalisme)が同時出現した事実に着目し、「生物学以前の生物学の哲学」の重要性を強調する一方で、「ドイツ生物学の胚胎」を論じたジョン・サミートは、従来まで「形而上学的逸脱」と揶揄されてきた自然哲学(Naturphilosophie)が果たした役割を再評価している。
それに対して、トビー・アペルの『キュヴィエ=ジョフロワ論争--ダーウィン以前のフランス生物学』以来、19世紀前半の「フランス生物学」に焦点を当てた研究は多くない。そこで本発表では、ジョルジュ・キュヴィエの後釜に座ったアンリ・ブランヴィルの未刊行史料に依拠しつつ、彼から多大な影響を受けたオーギュスト・コントが『実証哲学講義』で論じた「生物学」を歴史的に位置づける。
- [参考文献]
Appel, Toby. 1987. The Cuvier-Geoffroy Debate. French Biology in the Decades before Darwin. New York: Oxford University Press.〔トビー・A・アペル(西村顯治訳)『アカデミー論争 : 革命前後のパリを揺がせたナチュラリストたち』時空出版、1990年。〕
Gambarotto, Andrea. 2018. Vital Forces, Teleology and Organization: Philosophy of Nature and the Rise of Biology in Germany. Springer.
Lenoir, Timothy. 1989. The Strategy of Life: Teleology and Mechanics in Nineteenth-Century German Biology. Chicago: University of Chicago Press.
McLaughlin, Peter. "Naming Biology." Journal of the History of Biology 35 (2002): 1-4.
Reill, Peter Hanns. 2005. Vitalizing Nature in the Enlightenment. Berkeley: University of California Press.
Steigerwald, Joan. 2019. Experimenting at the Boundaries of Life Organic Vitality in Germany around 1800. University of Pittsburgh Press.
van den Berg, H., Demarest, B. "Axiomatic Natural Philosophy and the Emergence of Biology as a Science." Journal of History of Biology 53 (2020): 379-422.
Wolfe, Charles. 2019. La Philosophie de la biologie avant la biologie Une histoire du vitalisme. Paris: Classiques Garnier.
Wolfe, Charles & Bognon-Küss, Cécilia. 2019. "The idea of 'philosophy of biology before biology': A Methodological Provocation." In Cécilia Bognon-Küss & Charles T. Wolfe (eds.), Philosophy of Biology Before Biology. London: Routledge. pp. 4-23.
Zammito, J. 2018. The Gestation of German Biology: Philosophy and Physiology from Stahl to Schelling. Chicago: University of Chicago Press.
- 今回の生物学史研究会では、米本昌平氏から「二十世紀生命科学の総括とバイオエピステモロジー」についてご発表いただきます。対面で開催いたします。
- 日時:2025年3月22日(土)15:00〜18:00
会場が別の建物に変更となりました。ご注意下さい。(3月5日)
場所:東京大学駒場キャンパス16号館1階109号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_15_j.html
- 報告者紹介
生物学史、生命倫理、地球環境問題等、多面的な著作を手掛けてきた報告者は、還暦を機に、研究活動の原点である生命論に取り組んできました。既に以下の一連の著作がありますが、今回はそれらの総括となる新著『二十世紀生命科学のアポリア』(仮題)の概容の報告となります。
『バイオエピステモロジー序説』(2020)
『ニュートン主義の罠: バイオエピステモロジー II』(2017)
『バイオエピステモロジー』(2015)
『時間と生命 : ポスト反生気論の時代における生物的自然について』(2010)
- 7月20日(日)開催の生物学史研究会について、ご案内申し上げます。
- 参加を希望される方は、お手数ですが事前にこちらのフォームからご登録ください。
- https://forms.gle/MYdzntbFWrpZAN436
- 発表:菊地茉南氏(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)「石川千代松の生物学普及活動 −進化論理解と国家観に着目して−」
- 日時:2025年7月20日(日)15:00〜17:00
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_13_j.html
- 《オンライン》Zoomのリンクは、上記のフォームから参加登録していただいた方に後ほどメールでお知らせいたします。
- 発表概要
石川千代松(1860−1935)は、日本の進化論普及の第一人者として知られる人物である。E. S. モースの日本での進化論講演の通訳を務め、また、日本人生物学者の手による初めての進化論解説書『進化新論』(1890)を著したことは、石川の大きな功績である。だが、石川の普及活動は、進化論だけに留まらない。石川は、熱心に、かつ、幅広く生物学全般の通俗記事や通俗講演を行っている。しかし、石川千代松研究は、進化論関連に集中しており、一般大衆に向けての生物学普及活動については、十分に議論されているとは言い難い。
そこで本発表では、これまで見過ごされてきた、石川の生物学普及活動に焦点を当てる。石川の執筆面での生物学普及活動の実態を整理し、石川が、どのような動機から、熱心に生物学普及活動を行ったのかを検討したい。その際、石川の進化論理解と国家観に着目することとする。なお、本発表は、2025年に東京大学大学院に提出した修士論文をもとにした報告である。
- 参考文献
石川千代松(1891)『進化新論』、敬業社
斎藤光(2003)「個体としての生物、個体としての社会 −石川千代松における進化と人間社会」、阪上孝編『変異するダーウィニズム:進化論と社会』、京都大学出版会、pp. 360-408
富澤英治(1971)「石川千代松における進化論と社会」『生物学史研究』No. 20、pp. 10-17
富澤英治(1972)「石川千代松における進化論と社会(2)」『生物学史研究』No. 22、pp. 14-24田中丹史「日本における体外受精の導入過程の歴史分析:不確実性下の意思決定と責任」『哲学・科学史論叢』17, 83-102, 2015.
- ※ 生物学史分科会の会員に限らず、どなたでもご参加いただけます。参加無料です。
- ※ 予定に変更等が生じた場合は、ご登録されたメールアドレスに連絡させていただきます。