2026年 生物学史研究会
- 2月22日(日)開催の生物学史研究会について、ご案内申し上げます。
- 参加を希望される方は、お手数ですが事前にこちらのフォームからご登録ください。
- https://forms.gle/8Nh4ef6BCKGPuY2m8
- 発表:坂野徹氏(日本大学)忘れられた動物学者・阿部襄伝──早すぎた動物行動学者/遅れてきた人格主義者
- 日時:2026年2月22日(日)15:00〜17:00
- 開催形式:対面とオンライン(Zoom)のハイブリッド形式
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_13_j.html
- 《オンライン》Zoomのリンクは、上記のフォームから参加登録していただいた方に後ほどメールでお知らせいたします。
- 【発表概要】
本発表では、阿部襄(1907-1980)という「忘れられた」動物学者について検討する。
阿部襄は、山形県庄内地方の小地主である阿部家の長男として生まれた。『三太郎の日記』で知られる哲学者・阿部次郎は叔父にあたる。旧制山形中学、山形高校を経て、東北帝国大学理学部生物学科に進み、大学院進学と同時に理学部附属浅虫臨海実験所(青森県)の副手となった。その後、指導教官である畑井新喜司の誘いで、パラオに創設されたパラオ熱帯生物研究所の研究員として1934年から一年半南の島に滞在、さらに39年、満洲国(吉林)にあった師道大学(高校)の博物学教授に就任した。
一方、叔父・次郎の影響もあって、幼い頃から児童文学に親しんでいた襄は文学への強い志向ももっており、浅虫時代から在野の動物研究者・平岩米吉が主宰する雑誌『動物文学』に盛んに投稿するようになる。だが、日本敗戦と満洲国の崩壊にともない引き揚げ、1946年夏に山形県の実家に帰還。その後、山形農林専門学校の創設にかかわり、その後進である山形大学農学部の主任教授を長年つとめた。
戦後は、大学での研究教育のかたわら、科学読み物の執筆に力を入れると同時に、地元を拠点に平和運動を粘り強く続けた。このように科学と文学というふたつの人生を生きようとした、ひとりの動物学者の足跡を明らかにすることが本発表の課題である。
- 【参考文献】
坂野徹『〈島〉の科学者──パラオ熱帯生物研究所と帝国日本の南洋研究』(勁草書房、2019年)
蛯名賢造『畑井新喜司の生涯──日本近代生物学のパイオニア』(西田書店、1995年)
- ※ 生物学史分科会の会員に限らず、どなたでもご参加いただけます。参加無料です。
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- 3月22日(日)開催の生物学史研究会について、ご案内申し上げます。
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- 発表:爲石日出生氏「水産海洋学者宇田道隆が全国沿岸漁業者の聞き書きからまとめた『海と漁の伝承』の意義について」
- コメンテーター:廣野喜幸氏
- 日時:2026年3月22日(日)15:00〜17:00
- 開催形式:対面とオンライン(Zoom)のハイブリッド形式
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_13_j.html
- 《オンライン》Zoomのリンクは、上記のフォームから参加登録していただいた方に後ほどメールでお知らせいたします。
- 【発表概要】
日本科学史および生物学史において、魚の生物学、特に海と漁の研究に関しての紹介は少ないようです。長い年月遺伝子のように伝承されてきました沿岸の漁師の「経験と勘」の重要性に気付いたのは、物理学者の宇田道隆でした。この経験と勘こそが水産の科学です。海の広さと魚群の大きさを比較すれば、広い海で魚群を発見することが、いかに困難なことかがわかりますが、漁師はそれを易々とやってのけるのです。このため、水産科学は漁師の経験と勘の重要性を再発見しています。この魚群を発見する方法は、漁村特有の言語で言い伝えられるため、宇田以前には世には出ていないのです。宇田は、沿岸漁業者の「言い伝え」の重要性に気づき、それをまとめ「ぶり漁と低気圧の関係」および「潮目の物理と漁の関係」の研究を進め、1939(昭和14)年に学位を取得しています。この1939年は、漁師と科学者が和合した重要な年と言えます。その後、40年間宇田は修行僧のように漁村を訪ね、漁師の言葉を集め一冊の本にまとめました。『海と漁の伝承』です。この伝承は、人工衛星、航空機、研究船などの近代科学で、魚の通る道「魚道」を発見に繋がりました。このように、1939年を境に海と漁に関する水産科学は、大きく発展しました。
- 【参考文献】
宇田道隆、石野 誠『海と漁の伝承』 玉川大学出版部、1984年、5頁。
宇田道隆『海に生きて−海洋研究者の回想』東海大学出版会、1971年、189頁。
アーカイブズ宇田道隆文庫 日記、手紙、講演、1.日記 昭和5年日記、http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/library/maincollection/uda-bunko/pages/diary_s05.html。
稲掛伝三、大塚一志、黒田一紀「水産海洋学の黎明 宇田道隆(1905〜1982)」『水産海洋研究』水産海洋学会発行、77、2013年、2-5頁。
平野敏行「衛星データ利用による漁場環境情報」『沿岸の環境圏』フジ・テクノシステム、1998年、1519頁。
- ※ 生物学史分科会の会員に限らず、どなたでもご参加いただけます。参加無料です。
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- 5月24日(日)開催の生物学史研究会について、ご案内申し上げます。
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- 発表:伊東剛史氏(東京外国語大学)「死を加工する--ハチドリ熱の時代」
- 日時:2026年5月24日(日)15:00〜17:00
- 開催形式:対面のみ
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_13_j.html
- 【発表概要】
本報告は、19世紀半ばに鳥類学者ジョン・グールドが立案したハチドリ科鳥類の標本展と、その後の装飾文化や自然観の変容を軸に、「死を加工する」文化実践としての剥製を歴史的に考察するものである。1851年のロンドン万国博覧会をひとつの契機として、ハチドリは科学標本であると同時に、宝石のような美的対象として扱われるようになり、図譜出版・新聞報道・ガラスケースによる展示が連動して視覚的スペクタクルを生み出した。その結果、ハチドリは博物館から宝飾品、家庭の室内装飾へと社会の諸領域を横断し、生息地での大量捕獲と羽毛貿易を促すことになった。こうして剥製と工芸が融合し、室内装飾や装身具として日常生活に浸透する一方、旧来の博物学を「死の目録学」と批判する声があがるようになった。本報告では、科学・芸術・消費が交錯する場において、どのようにして人々が死せる鳥の身体に生の輝きを見出したのかを考え直したい。
- 【参考文献】
Isabella Tree, The bird man: the extraordinary story of John Gould (London: Barrie & Jenkins, 1991)
Helen Louise Cowie, Victims of fashion: animal commodities in Victorian Britain (Cambridge: Cambridge University Press, 2022)
Conor Mark Jameson, Finding W. H. Hudson: the writer who came to Britain to save the birds (London: Pelagic Publishing, 2023)
伊東剛史『近代イギリスの動物史--歴史学のアニマル・ターン』(名古屋大学出版会、2025年)第7章、第8章
Audrey Murfin, 'Bird[s] matter: the case of hummingbirds', in Audrey Murfin, Victoria Pettersen Lantz, Sibyl Bucheli (eds), Animal Fashions: colonialism, collecting, and gender (London: Palgrave Macmillan, 2026), pp. 35-58.
- ※ 生物学史分科会の会員に限らず、どなたでもご参加いただけます。参加無料です。
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