微生物を活用した、下水汚泥の資源化技術に関する基盤研究

 生活排水は一般に、地下の下水管を通って近隣の下水処理場へと導かれ、そこで微生物を用いた浄化(有機物汚れの分解や無機化、窒素・リンの除去など)がされ、きれいな水になって河川に放流されます。日本の場合は、全国2000箇所に下水処理場があり、いずれも24時間・年中無休で稼働しています。

 従って、処理をすればするほど、有機物汚れを分解して増殖した微生物のバイオマス(菌体)が大量に発生します。これは「余剰汚泥」と呼ばれる泥状の廃棄物で、実は最も多く排出される産業廃棄物です。この余剰汚泥を少しでも減らすために嫌気消化(いわゆるメタン発酵)をする場合がありますが、それでも減容率は3割程度であり、残り7割は「これ以上は生分解が進みづらいカス」として残ってしまいます。これを「消化汚泥」と呼びます。

 本研究室ではこの消化汚泥をさらに分解し、天然ガスの代わりとして使えるバイオガスを生産する微生物群集を見つけて研究しています。