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物質計測制御とは

    物質計測制御=物質計測+物質制御を合わせた造語です。つまり、物質の計測と制御が本研究室の本質です。

  • 物質計測とは

  • 半導体デバイス、センサー、電池、果ては巨大構造物を作る際には必ず何らかの物質が用いられます。ご存知のように、こうした最先端の技術は計算やアルゴリズムの進歩も著しいですが、根本としてどういう物質をどのように使うのかが飛躍的な進歩の鍵となります。物質設計は近年では理論やシミュレーションによって行われることが多いですが、最終的には物性と機能を検証するためには計測・分析技術が不可欠です。なぜなら、「観ないでモノは作れないからです」。物質やその状態に関する情報を得ることが「計測・分析」と呼ばれる分野になります。
    計測・分析はその範囲が広く、化学や物理など特定の学問領域の内部にあるというよりは、学問分野を横断して必要とされているものです。一つ例を挙げましょう。一般に広く使われているリチウムイオン電池です。これはLi+イオンが充放電に伴い、正極と負極の間を行き来することで、電子が外部回路を通って電池として働くのです。電池として動けばいい、というのであれば計測・分析は必要ないかもしれません。しかし、長持ちする(大容量)ことや、劣化しない電池はニーズが高いです。それを実現するためには、電池としての容量がどこで決まっているのか、劣化する原因は何なのかを見出して、それらに対する改良を重ねていくわけです。その際に観る技術である計測・分析が必要かつ重要な役割を果たすことは容易に想像できるでしょう。
    では、計測・分析は今の技術のままでいいのでしょうか?いいえ、そうではありません。最先端のデバイスや技術の進歩は著しく、計測・分析技術もそれに応じて進歩し、これらの開発を牽引しなければなりません。そのためには、既存の計測・分析技術を超える性能をもつ新しい計測・分析技術が必要となるのです。これが本研究室が目指す大きな目標です。

    Liイオン電池の劣化の様子を電極粒子一つのレベルで解析できます。



  • 物質制御とは

  • それでは物質制御の方はどうでしょうか。物質を制御するとは、具体的にはこちらが思うように物質を加工したり、形状を作製したりすることです。先に挙げたデバイス、センサー、電池、何れも性能向上のために微細化・複合化が推し進められています。ところが、理論的には良いとされる構造を作る技術がなければ実現しません。また、研究レベルで成功したものが商用レベルの大量生産に繋がるかといえばそうではありません。これも、大量生産に向いた物質制御でなければ解決しないものです。
    それでは本研究室で行っている物質制御は何かといえば、一つは有機薄膜の製造方法です。有機薄膜は有機ELディスプレイや太陽電池にも用いられる構造ですが、異なる材料の有機薄膜を積層させることが必要であり、実はこれは難しい技術なのです。研究室レベルでは小さなサイズでよく、また、失敗してもまた作ればいいのですが、大量生産ではそうはいきません。大面積で、なおかつ歩留まりの良い製造方法が必須です。本研究室では、エレクトロスプレー現象を用い、塗布法として有機積層構造を作る方法を研究しています。
    もう一つ挙げると、医療分野に関連することですが、単一細胞の急速凍結法を開発しています。話せば長くなりますが、本研究室で開発している質量イメージング装置ではヒトの細胞1つを成分イメージングする能力を持っています。しかしながら、試料は真空中に入れる必要があるため、そのままでは分析ができないのです。そこで、試料である細胞を瞬間的に凍結させ、生きていた状態を保ちながら細胞の3次元構造を明らかにしようと思っています。具体的に何に役立つかと言えば、例えば癌治療があります。この方法が結実すれば、癌治療に新しい視点からの情報をもたらすことができ、医療の発展に繋がる可能性があります。
    以上のように、本研究室は物質を思ったとおりに計測・分析したり、制御する技術を開発することで、今考えうる重要な分野に貢献し、科学技術の進歩に少しでも貢献しようとしています。

    わずか6/1000 mmのコーガ君を描くこともできます!



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