生物学史研究会(日本科学史学会生物学史分科会主催)
生物学史研究会のご案内
研究会はどなたでもご参加いただけます。お誘いあわせの上、お気軽においで下さい。
研究会の案内は、ご希望の方に電子メールでお知らせしております。ご希望の方は、告知用のgoogleグループ(http://bit.ly/kKkaqu)に登録していただくか(googleのアカウントが必要)、研究会係の奥村大介okumuradaisuke1884@gmail.com、川端美季mikikwbt@gmail.com、森下直紀ciel.azure@gmail.com、中尾暁nakaogyo@gmail.com、多門伸江nobue-tamon@g.ecc.u-tokyo.ac.jp、廣野喜幸yoshiyuki.hirono@gmail.com、佐藤桃子sato.momoco@gmail.com、菊地茉南mana.kikuchi4308@gmail.comのいずれかにご連絡ください。
以下は最新の研究会情報になります。
- 11月16日(日)開催の生物学史研究会について、ご案内申し上げます。
- 参加を希望される方は、お手数ですが事前にこちらのフォームからご登録ください。
- https://forms.gle/YkmKHrB4WbxYzAim6
- 発表:太田充胤氏(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)「生活習慣病」概念の歴史と今後の展開
- 日時:2025年11月16日(日)15:00〜17:00
- 開催形式:対面とオンライン(Zoom)のハイブリッド形式
- 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。)http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_13_j.html
- 《オンライン》Zoomのリンクは、上記のフォームから参加登録していただいた方に後ほどメールでお知らせいたします。
- 【発表概要】
本発表では、日本における「生活習慣病」という概念の形成過程を歴史学的に検証し、若干の哲学的考察を加える。
「生活習慣病」は1996年に行政用語として導入され、「成人病」に代わる概念として人口に膾炙したが、国家が自己責任論を助長し患者をスティグマ化しているとして批判もなされてもきた。2024年には日本糖尿病協会が、アンチスティグマキャンペーンの一環として「生活習慣病」を「使うべきではない」用語リストに収載した。しかしながら、この概念が実際に誰になにをもたらしてきたのかはほとんど研究されていない。
本発表は「生活習慣病」概念の来歴を明らかにすることで、現在の批判的議論に歴史的文脈を提供するものである。本研究により、日野原重明(1911-2017)が1978年に提唱した「習慣病」と英語圏の「lifestyle diseases」が1980年代に合流し「生活習慣病」の語に収束したことが明らかになった。1978年から1996年にかけて、「習慣病」ないし「生活習慣病」は医療・保健関係者に歓迎され頻用されたが、その過程で医療者の権威的な振舞いをも助長し、各業界で恣意的に利用されてきた。すなわち、仮にこれらの概念が患者をスティグマ化してきたとすれば、それは国家以前に医学・医療の機能に起因するものであった。
- 【参考文献】
佐藤 純一 (2000)「「生活習慣病」の作られ方-健康言説の構築過程」『健康論の誘惑』文化書房博文社.
橋本英樹 (2021)「生活習慣病というラベルの歴史と国内外の動向、そして功罪」『糖尿病プラクティス』38, 164-168.
日野原 重明(1979)「成人病に替わる習慣病 habit disease という言葉の提唱と対策」『医療と教育の刷新を求めて』医学書院.
David J. Harper, Kian Vakili (2021) Mental Health Prejudice, Discrimination and Epistemic Injustice. In The Routledge International Handbook of Discrimination, Prejudice and Stereotyping, Chapter 3, Routledge.
- ※ 生物学史分科会の会員に限らず、どなたでもご参加いただけます。参加無料です。
- ※ 予定に変更等が生じた場合は、ご登録されたメールアドレスに連絡させていただきます。
- 問い合わせ:生物学史研究会係 菊地茉南(mana.kikuchi4308@gmail.com)